病気ではないけれども、なんとなく疲れを感じていませんか。
今回は疲労感の原因や改善方法について医師に話を伺いました。
- <井林先生のプロフィール>
- 井林 雄太
- 一般内科、中でも糖尿病内科、内分泌代謝内科に関する基本的病態生理ならびに関連疾病を専門に扱う。
目次
疲れって何?疲労感や倦怠感の原因とは
私たちは日々の生活や仕事でさまざまな肉体的負担を受けています。
その負担に対応するために、体はエネルギーを消費し対応しますが、同時に疲労物質を発生させます。具体的にはエネルギー源である糖分が体内に少なくなったときや、運動後に生成されるタンパク質が疲労を感じる原因と考えられています。
この疲労物質が蓄積すると、体の機能が低下し、疲労感や倦怠感を感じるようになります。疲労感は体の状態を知らせるサインであり、適度な休息や栄養補給で回復することができます。
一時的な疲労とは異なり、倦怠感は疲労が慢性化した状態であると考えられています。この状態が続くと心身の不調や免疫力の低下などを引き起こす可能性があります。
常に感じる疲労感、何が原因?
疲労にはさまざまな要因がありますが、主なものは以下のように分類できます。
・身体的な要因:過度な運動や肉体労働による筋肉や関節の疲れ。睡眠不足や食事の偏りによる栄養不足や代謝低下、免疫力の低下や感染症など
・環境的な要因:気温や湿度が高すぎたり低すぎたりすると体温調節にエネルギーを消費し、本来必要な部分に栄養が行き渡らなくなります。また騒音や光が強すぎると神経を刺激し、睡眠の質を低下させます。
・精神的な要因:ストレスや不安、悩みや不満などは自律神経のバランスを崩し交感神経が優位になると心拍数や血圧が上昇し、副交感神経が優位になると消化器官の働きが低下します。また、気分が沈んだりイライラしたりするとホルモンの分泌にも影響します。
特に現代社会では、デスクワークやスマートフォンの使用による姿勢の固定や目の疲れ、コロナ禍に伴う在宅勤務や自粛生活による運動不足や孤立感などが疲労の原因となっています。
倦怠感はストレスが原因になることも
疲労の心理的な要因として、ストレスが最も一般的です。ストレスとは、心理的な負荷を受けたときに生じる反応であり、生活や仕事における問題や困難、人間関係や対人コミュニケーションなどが原因となります。
ストレスは適度な量であれば、体を活性化させたり、集中力や判断力を高めたりする効果があります。しかし、ストレスが長期間かつ高度に続くと、心身に悪影響を及ぼします。ストレスが原因で倦怠感を感じる場合は、以下のような症状が現れることがあります。
・睡眠障害や食欲不振
・集中力や記憶力の低下
・気分の落ち込みやイライラ
・頭痛や胃痛などの身体的不調
ストレスは避けられないものですが、コントロールすることは可能です。自分のストレス源を把握し、対処法を見つけることが大切です。例えば、リラックスできる趣味や運動をする、友人や家族と話す、プロのカウンセラーに相談するなどです。
適度な運動と血流改善で疲労感を改善
疲労感や倦怠感を改善するためには、適度な運動と血流改善が有効です。
運動は筋肉を動かすことでエネルギー代謝を促進し、老廃物の排出や新陳代謝の向上につながります。また、運動は心拍数や呼吸数を増やすことで血液の循環を良くし、酸素や栄養素を体中に運びます。
これにより、疲労物質の除去や細胞の活性化が促され、疲労感や倦怠感が軽減されます。運動は激しいものでなくても効果があります。日常生活の中で階段を使ったり、散歩をしたりするだけでも違います。
血流改善には、運動以外にも磁気を利用する方法があります。
磁気は血液中の血流をスムーズにし、体温を上げる効果も期待されています。磁気は磁気ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーや、磁気シートやマットなどの寝具に取り入れられています。これらの商品による磁気は微弱であり、身体に対する副作用もほとんどありません。磁気を身につけることで、疲労感や倦怠感を和らげることができる可能性があります。
疲れを溜めないために気をつけたいこと
疲労感や倦怠感を改善することは大切ですが、それ以上に大切なことは、疲れを溜めないことです。疲れを溜めないためには、以下のようなことに気をつけましょう。
・エネルギーとなる栄養を補給する:主に糖分がエネルギー源として利用されます。3食しっかり食べることに加え、夕方に間食を挟むなどしてエネルギー不足の状態にならないようにすることが効果的です。
・生活リズムを整える:規則正しい睡眠や食事は体のリズムを整えるだけでなく、免疫力や自律神経のバランスも保ちます。
・ストレスを溜めない:ストレスは適度に発散することが大切です。趣味やリラクゼーションなどで心身をリフレッシュしましょう。
・休息を取る:無理をしないことも重要です。体や心が疲れたと感じたら、無理せず休息を取りましょう。
忙しい日々を元気に過ごすためには、自分の体と心に優しくすることが必要です。適度な運動と血流改善で疲労感や倦怠感を軽減し、生活リズムやストレス管理で疲れを溜めないようにしましょう。